第28回すばる専門委員会議事録(案)
日時:1999年5月13日午前9時−午後16時(日本時間)
12日午後2時−午後9時(ハワイ時間)
場所:国立天文台北研講義室
出席者:
新委員:安藤、家(委員長)、太田、岡村、郷田、小林、佐藤、
田村(幹事)、林(TV参加)、舞原(副委員長)、村上、山田
旧委員:大谷、梶野、高見、
Ex Officio : 海部所長(TV参加)、唐牛室長、小平台長
1.委員紹介と専門委員会の位置付け
台長挨拶、台外・台内の専門委員の自己紹介、議事・資料確認が行われた。
2.専門委員会委員長・副委員長の選出
委員長として家委員、副委員長に舞原委員、幹事(書記)に田村委員を選出した。
3.前期専門委員会・小委員会活動報告
・「大型光学赤外線望遠鏡専門委員会活動報告」(家、資料28−2):
専門委員会としては観測計画小委員会の設置、すばるの進捗状況の把握、
第1期共同利用観測装置の製作 状況と試験観測計画のレビュー、ファースト
ライト期の試験観測装置のレビュー、観測装置製作合意書の検討、第2期観測装
置計画の検討、共同利用運用の基本方針の検討、国内観測所の長期計画と基幹
大学の体制整備の検討などを行ったとの報告説明があり、今期専門委員会への
引継事項の確認があった。
・「観測計画小委員会報告」(大谷、資料28−3):平成10年度R&D経費
(11課題)のまとめと成果報告(FMOSは口頭報告)に続き、
平成11年度R&D計画について公募中であること、第2期観測装置計画
(6件)のレビューを今期行う必要があることの説明があった。
4.「すばる望遠鏡/ハワイ観測所状況報告」(海部、資料28−4)
・ファーストライトの経過と成果:記者発表(1/28)、特別番組(2月)、
全国双方向公開講座など大反響があった。CISCO,SuprimeCAM
の役割も大。 6月に第2回記者発表を予定。
・望遠鏡の立ち上げ調整:昼間および前半夜は三菱の工事・調整、後半夜は
調整試験観測。所員によるオペレーション体制も立ち上げ中。制御ソフト、
データ解析・アーカイブ試験も継続中。
・工事:いくつかのトラブルがあったが、大きな支障は生じていない。
11月に望遠鏡の正式引渡しを予定。工事・保守は三菱の現地子会社が担当。
今年度末に建設プロジェクトを完了する。
・指向追尾性能:指向精度は実測0”.98rms、オープン追尾精度は実測
0.083”(1分)、0.197”(10分)、0.425”(30分)、
オートガイダ追尾精度は0.069”rmsといずれも仕様をクリア。
結像サイズは、3月時ですでに0.185”。 なお確認と追い込みを行う。
・初期的観測成果:望遠鏡のすばやい立ち上がりとCISCO/Suprime
CAMの利用により、3編の論文(オリオン、重力レンズ、銀河団、)
をまとめて投稿準備中。
・ハワイ観測所:4月で当初予定の25人の赴任を完成した。RCUH雇用スタッフ
は現在17人。今後の人事の予定。データ解析マンパワーの不足と外国人客員も
含めたスタッフの増員の必要性が述べられた。建物の増築必要性、所長の交代
予定について説明があった。
・完成祝賀記念式典(山頂)および完成祝賀式(ヒロ)を9月17日に行う。
・観測装置のスケジュールは遅れ気味で、試験観測時間と共同利用時間との兼ね
合いが問題となる。望遠鏡時間の配分素案が提案された。
5.「すばる望遠鏡計画状況概要」(家:資料28−5)
・上記報告(海部:資料28−4)と重複部分は省略。
・平成11年度から、すばるボード(8名)による運営でハワイ・三鷹の連携を強化
する方向との説明があった。
5’.「平成10年度校費決算中間報告」(家:資料28−5’)
・校費等H10年度決算資料について若干の説明があった。
・平成11年度予算(資料28−5’)について唐牛委員より補足説明があった。
すばる第一期装置へ追加配分については、すばる内部で行うことが承認された。
・院生の旅費は2年間は科研費でまかなうことが予定されているが、それ以降は未定。
概算要求計画について説明があった。
・「すばる初期共同利用方針(案)」(家:資料28−6)について、検討課題項目の
指摘確認があった。
6.本年度活動方針についての議論
・主な活動として挙がった項目は、1)第2期観測装置レビュー、2)第1期
装置立ち上げのウォッチング、3)共同利用の枠組み・体制作りがあった。
4)その他、試験観測の議論、すばる委員会を国際化する(特に、対ハワイ大学)
課題についての指摘もあった。
・これらの課題に処するため、開発小委員会を設け、望遠鏡・ソフトウエアの
アップグレード、第2期装置のレビュー、第1期装置のウォッチングなどを行なう
ことを決定した。
・小委員会メンバーは、市川隆、大谷(オブザーバー)、岡村、佐藤(委員長)、
高見、西村、舞原、水本、山下とする。
・天文台における装置開発に関して、メシアのサポート体制の要求があった。
・プログラム準備小委員会についても必要性が議論された。今年の末には方針
が決まっている必要性があるが、それが最終的なものである必要はない。共
同利用開始に向けて素案となるものをすばる室で用意し、今後議論を行う。
7.「すばる望遠鏡の観測データの公開に関する提案書」(市川伸一、資料28−7):
・すばるのデータ公開に関して、観測後1年をもって公開を原則とする規約を設
ける提案が提出された。付属資料として世界の観測所の例。時間の現実性につ
いての指摘(1年は日本の天文学者には短すぎる)、アーカイブによる天文学的
成果についての調査の要請などがあった。データ公開についての合意は日本の
天文コミュニティーにもあると思われるが、時間については意見を伺いつつ、
秋までに結論したい。
8.当面の方針についての議論(資料28−9)
ファーストライト以降の試験調整観測について、ハワイ観測所やすばる室で
の議論が紹介された。すばるの建設に携わってきた人の観測・議論への積極的
参加を主に議論した。第1期装置が来るまでの試験観測の位置付けについては、
いろいろ意見があるが、現在のようなフレキシビリティーをもたせる。主に各
装置サイエンスワーキンググループを通した提案とすばるメンバーからの提案
が行われる。データの扱いに関しては、なるべくすべてのすばるメンバーがア
クセスできるように考慮する。海外からの窓口観測の問題点、望遠鏡本体に携
わってきた人の積極的参加、すばるディープフィールドなど良い結果の出る提
案の意義について議論した。
また、装置グループから試験観測の感想・希望が述べられた。
9.第2期観測装置提案についての紹介とレビュー
第2期装置提案書について委員のクリティカルな意見を聞いた。
・「主焦点ファイバー多天体分光器」資料28−81、責任者:唐牛):
魅力的装置だが開発・製作体制に不安。
・「焦点近赤外線カメラ」資料28−82、責任者:市川隆):
野心的計画。詳細な検討。他の類似計画と比較して判断すべき時期に来ている。
・「カグレン焦点近赤外線多天体分光撮像装置」資料28−83、責任者:関口和寛):
「UKIRT WFCとすばる望遠鏡を使った近赤外線広域サーベイと
そのフォローアップ観測」というタイトルでのすばる/UKIRT共同研究提案に
差し替え。
・「カセグレン焦点高速測光装置」(資料28−84、責任者:関口和寛):予算的には小さい。
・「赤外高分散分光器」(資料28−85、責任者:川口):
以前の提案のフーリエからグレーティングに変更。R&Dは進んでいる。
・「近赤外線多天体分光装置」(資料28−86、責任者:西村):
無難な提案。開発・製作体制が不明。
10)次回開催を夏前に行えるよう日程調査を行う。
以上