Subaru Users Meeting FY2010

Jan. 19-20, 2011
Mitaka HQ, National Astronomical Observatory of Japan

PFSについての議論 (日本語 2011/01/19)

(議論の時間の前にあった議論)

SACの条件のうち、日本人マネジャーというのは
→SACとして議論したところだが、プロジェクト全体をみて進めることが出来る
人が必要で、それが日本人であることが望ましい、ということ。

宇宙論、銀河考古学以外のSACメンバーの反応は
→コミュニティ全体を考えて欲しいという意見だった

インテンシブでできるというのは、インテンシブになったら外国人は入れないの
か。25%の時間のキャップの話か?
→国際コンソーシアムで行う観測は戦略枠という枠組みで審査されるということ。
インテンシブは共同利用の一部。戦略枠として提出されたうち一部をインテンシ
ブでやってほしい、という場合は、出すことは構わないが、戦略枠とは別の枠組
みで審査されるということ。
外国人PIはインテンシブは出せるのか→要確認

タイムクリティカルな観測には大きな影響があるのでは。
→すばるだけでなく、他の望遠鏡を使うことを考えた方がよい

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PFS議論:

議論のポイントは、最後にconclusionに達することを目標にしているというこ
とである。PFS計画をすばる望遠鏡の将来装置計画として推進することを支持
するかどうか?

[ 国際パートナーとの関係 ]

装置の名前なんとかならないですか?Giant BOSSなんかどう? GANDAMとか?

PFSを提案する際には戦略枠をやることが前提になっている。公募の枠組みが
あるのでそのまま受け入れる訳ではなく、審査過程を経る。

戦略枠の母体は装置チーム+日本のコミュニティ全体。装置チーム主体というわ
けではない。

「PFSが導入されれば、戦略枠以外は、共同利用装置として、そのポリシー(国際
プロポーザルの扱いを含む)は他の共同利用装置と同列に扱う」というのは、戦
略枠を運用して国際コンソーシアムでのサーベイ観測を実施する、というものと
の関係は。
→特に国際パートナーに向けて、戦略枠以外の部分での観測は通常の共同利用の
ポリシーで行われる、PFSが国際的に完全にオープンになるのではない、という
点を明らかにしておくことを意図したもの。

戦略枠提案のレビュープロセスは今と同じですね?

そうだと思います。

誤解してほしくないが、国際コンソーシアムを組むので、大きなマシンタイムは
必ず使うことになる。しかし、提案をそのまますぐ認めるわけではなく、審査過
程でブラッシュアップされるということである。また、戦略枠というものも、コ
ミュニティでの議論で今後変わり得るということを念頭に置いておいてほしい。

SACのコメントの中に300夜という数字が最初入っていたが、削った。300夜がデ
フォルトではない。保証されているわけではない。

我々の中での議論はそれでいいと思うが、村山さんはそれでいいのか?
国際パートナーの理解はあるのか? 紳士協定としてはあるが、明文化はできない。

村山:わからない。お金を持って来る人がいた場合はある程度の望遠鏡時間の保
証がないと成立しない。私は保証できる立場にない。台長の判断だ。だから、そ
れでよいのかと問われれば、私には答えられない。300夜というのが外国の共同
研究者の頭の中にあるのは確か。100夜では態度が大きく違ってくるだろう。

須藤:300夜は上限で、そこまでの可能性はあるが、現時点で確実に保証されて
いるものではないということは伝えてある。300夜申請する権利はあって、最低
限の望遠鏡時間の保証を書くか、ここで決めるのか、台長が決めるのかは微妙な
問題。

観山:プリンストンはSEEDSとHSCで100夜くらいは当然できるでしょう、という
ことで合意した。300夜できるかどうかはわからない。最終的にはTACが決めるこ
と。最大300夜までは申請できるからプロポーザルを出してくれということ。

プリンストン100夜はMOUに書いてあるのか?
→ MOUに書いてある。

WFMOSのときのすばるとGeminiの合意書案には300夜と書いてあった。


[ 装置仕様について ]

FMOSとPFSの赤外アームの相補性について補足
 FMOSはより長波長=高赤方偏移をカバーしている
 PFSはファイバー数が多い、感度がよくなると期待

同時分光だと、同じ積分時間で赤外のほうは浅くしか行かないと思うが、その点
は考えてあるのか。

BAOだと必要なのは1ミクロンまで。近赤外が必要なのは主に銀河サーベイだが、
近赤外でも充分なS/Nになるくらい積分する。

大気分散(ADC)の影響は考えているのか? ファイバーの入口で、波長によって入
射光の位置がずれないか?

ADCは考慮している。

すばるの現ADCは赤外は通さないのでは?

1.3ミクロンまでならぎりぎり通すので問題ない。

ファイバーの透過率にでこぼこがあるのではないか?

赤外は大丈夫。青のほうは透過率が低い状況。今検討を進めている。


[ 共同利用への影響 ]

共同利用へのインパクトで、すばるだけでなくマウナケア全体で考えてはどうか
ということがあったが、SACあるいは観測所で具体的な議論はあるのか?

高見:議論している。長期的には時間交換は広げていこうとしている。Geminiと
は新たなMOUを準備中。時間交換を広げて行く方向。何夜とは書いてないが。
なかなかユーザーが観測提案を出してこないのが懸案。お互いリソースを有効に
使うほうがいい。

CFHTを10mにして可視光高分散の分光器を備える計画がある。そういうのを利用
する手もある。

WFMOSのときはGeminiを半分使えるということだった。
今回のパートナーは8-10mをもっている。うまい話かも知れないが、お金だけで
なく、望遠鏡時間を使わせてもらうという議論はあったのか?

高見:ローカルな議論はあったが、フォーマルにはしていない。

FOCASのデコミッション可能性とか、装置交換のロスとか、装置交換の制約とか
理解できたか? 他の装置の機能についてはSACで検討したのか?

すばる所長から可能性は聞いたが、まだSACで検討はしていない。

昨日のすばる将来装置ワークショップで議論はあったのか?

昨日はPFS以外の装置の話。持ち込み装置の話だった。

HSCやPFSがつけっぱなしになることはどうか?

FOCASの代わりになると思っている他の望遠鏡の装置も10年物で、PFSの時代に本
当に使えるのか心配。新たな装置を作って一緒にやらないかというくらいでない
とできないのでは。

多様性を残すのも重要。他の望遠鏡にも装置を持ち込めるような枠組みが必要。
昨日たくさんのPI装置提案があった。それと両立するのか? 他の研究分野が全部
死んでしまう。天文台のリソースをPFSに集中させるのではなく、他のところに
回せるようなやり方がないと、10年後の装置開発のアクティビティを維持できな
い。

HSCをつけっぱなしは現実的でない。満月の時に可視光の装置を望遠鏡に付ける
のは賢明ではない。装置交換の時間ロスがあるにせよ、明夜には赤外線装置で観
測した方が、すばる全体としては成果がでるはず。

明夜でも、可視の長波長のNarrow Band Filterの観測とかは可能ではないか。検
討が必要。

宮崎:HSCとしては交換効率は上げるつもり。LSSTは可視のカメラしかなく、明
夜にも観測する。可視光の最も長波長のyバンドで観測する計画。

高見:PFSは基本的に可視・暗夜の装置なので、明夜の装置計画も考えている。
赤外装置。検討は進めている。


[ 採決へ ]

装置交換で24夜ロスするということは、WFMOSのときにもあったのだがよく分か
っていなかった。
WFMOSに比べるとIPMUの強力なリーダーシップがある。
今回はWhite Paperで日本の人がサイエンスをしっかり考えている。
WFMOSに比べてネガティブになったとは思えない。

観山:天文台として今後どう考えるかは重要。コミュニティあっての大学共同利
用機関で東大と我々は立場が違う。
天文台はコミュニティの意見を吸い上げてやっていく。こういう機会を得られた
ことはありがたい。
すばる所長の発表では、2018年にTMTが稼働しているとなっていたが、現実的と
は思えない。TMTまでの今後数年は、すばるの装置開発には良いタイミングであ
る。PFSで海外とのmanagementができないようでは、TMTなんかできっこない。
ALMAでさんざん苦労しているが、ALMAは干渉計で別々に作ることができた。
TMTは一つの望遠鏡をみんなで作ろうとしている。PFSができなければそれはでき
ない。
天文台のお金ですばるの装置を作ることはここ数年はできなかった。すべてALMA
に傾注したので。SACで将来装置を検討した際に3つの装置案があったが、予算が
取れる状況ではなかった。新しい装置を作るためには、共同研究しかない。
ALMAが終わっても、世の中の状況は変わった。科研費でやりなさいという感じ。
皆さんがほしい装置かどうかが重要なので、よく議論してほしい。
オープンに議論できるのはよい。

今台長は6-7年でTMTができるのはあり得ないと言われたが、TMTは推進していく
べきと思う。

心配な点がある人は発言してほしい。

個人の立場で発言する。一番やりたいことに最適な装置なのか、それともそれが
できるから使いましょうなのか?

半々です。

ファイバー2000本の8m望遠鏡の装置というのはユニークな装置仕様なのでTMTと
並んで重要。

今までのサイエンスに固執したらよい装置ではないが、そうでないならよい装置
だ。

この装置は予算規模が大きい。予算がついたということはこれまでのコミュニテ
ィの成果でもある、PFSをやろうとしている人たちは、PI装置としてやるのか、
どういう気持ちなのか?

村山:PI持ち込み装置という見方は正しくない。この規模が持ち込み装置という
のはあり得ない。コミュニティの支持があって国立天文台が自分たちの装置とし
てやると言わないかぎり共同研究は成り立たない。

コミュニティの期待を背負ってやってくれという意味ですよね?

WFMOSのときは、WFMOSを計画している人たちから個人的なコンタクトはあったが
日本人がリードしなかった。
今回は日本人がサイエンスの大部分を主導している。PFSはWFMOSに比べて圧倒的
にpositive。

実際に装置を動かすことに日本国内が関わっていない。日本国内での装置開発が
先細りになりそう。

須藤:ゴーサインが出れば、国立天文台との協力のもとで、IPMUが、若い人に装
置開発に加わってもらう機会を提供する。

村山:日本人で装置開発に加わる人があったほうがよいのはもちろんだ。声をか
けてはきたが、今まで応じた人はいない。興味のある人が全くいないのか、ある
いは、できそうな見込みが出てから参入しようと考えているのかは分からない。
今回決をとったら是非やろうと手を挙げる人が出て欲しい。

村山さんやIPMUがもっている能力、リーダーシップはすごいものがある。
是非手を挙げてほしい。

装置開発についていうと、マネジメントと技術開発の二つの側面がある。前者は
若手には興味ないだろう。後者は興味を持っている人がいる。
PFSはサーベイが中心なので、サーベイが終わったあとはPFSでの観測はどれくら
いニーズがあるのか?

HSCだってサーベイ以外に個別観測がある。HSCで撮像したらフォローアップの分
光は必ずある。

豊富になったリソースをPFS以外にも振り分けられるようにしてほしい。

挙手の前にPFSに興味のない人はここに来てない可能性がある。それに注意して
ほしい。

今後の議論の中で心にとどめていく。だがここはPFS WSではなくすばるUMなので。
支持しない人は挙手してほしい。

WFMOSの時と同じ。指示するというのが諸手を挙げて賛成を意味するのではなく、
検討をさらに進めるのか、ここでやめるべきかを聞きましょう。

この提案を推進することに対する意見分布を聞く必要がある。

支持する人に挙手してもらえばよい。一回だけ挙手してもらえばよい。
積極的に反対しない人は挙手してほしい。大きなプロジェクトを強い反対もない
のに止めるのはよくない。

では支持する人は手を上げてください。

反対なわけではないが。形式的な問題として。サーキュラーの呼びかけ文に対す
る疑問。大事な決断をするとだけ書いてあった。これでPFSの決を採っていいの
か?

プログラムも出ているので、PFSが議題ということは周知の事実。決を採っても
いいと思う。

SACとしても、ここが最終的な意見表明の場であると考えて提言を準備してきた。

SACは条件つき提言だったが、条件ありとなしではずいぶん違う。どちらなのか?

SACが提示した条件の下での判断だ。その理解でよいか?
SACの条件のもとで推進することに賛成するか? 支持する人は挙手してほしい。

挙手多数

支持するということになったが、この点だけは注意してほしいということを是非
言ってほしい。

今後の進展、ここはうまくいっている、ここは問題が出てきたというような情報
を絶えず流してほしい。また、装置開発へのinvolvementを進めて欲しい。

観山:活発な議論をありがとうございます。コミュニティにお願いしたいことは、
このことを書いたものにしてください。UMという場で支持が得られたということ
を書いたものにして渡してもらえると私として動きやすいです。

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